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2017/07/31 16:40


オリーブオイル


私たちが石鹸(adatepe 101)の原料として使うのは、トルコのエーゲ海沿岸のアダテペ村で、伝統的な方法で製造されるエクストラバージンオリーブオイルです。最上のオリーブオイルを求めて、世界各地の生産地を巡り、それぞれの地域のオリーブの栽培方法や歴史や文化を学び、その中で出会ったのがこのアダテペ村で作られるオイルでした。

アダテペ村には、長い歴史のなかで一時廃れていたオリーブの栽培と、それにまつわる文化や伝統を再発見し、再生した人々によるオリーブの歴史と周辺の文化を伝える博物館がありました。私たちはこの村を訪れ、博物館を中心に集まり、より上質で安全なオリーブオイルをもとめて自然農法に取り組む人々と、その賜物である最高品質のオリーブオイルに出会う事ができました。私たちが使うエクストラバージンオリーブオイルは、このオリーブ博物館で作られるオイルです 。

オリーブの実

自然にも身体にもふさわしいエクストラバージンオリーブオイル

植物学的な情報=オリーブ: Olive 学名Olea Europaea L. Scientific name: Olea Europaea L. 
モクセイ科の常緑樹で樹高10メートル、樹齢は人が手をかければ1000年を超えると言われています。
葉の表は光沢があり裏は白っぽい幅1cm、長さ4cmほどの細長い楕円形をしています。花は春に2mmほどの小さな花が白く房状に咲きます。果実は楕円形で、長さ3cm直径1.5cmほど。夏頃に成長しきり、秋冬にかけて、黄緑色から紅色、黒みがかった紫へと熟します。品種によって大きさや味や油分の含有量が異なるので、収穫の時期もそれに応じて変化します。品種は非常に多く、食用、搾油用など品種ごとに用途が異なります。 原産は小アジア、リビア、サハラ砂漠周辺と言われ、ギリシア神話の知恵の女神アテナの象徴とされ、聖書やコーランにも登場し、シリアのウガリット遺跡からは木製の搾油機が見つかるなど、人との関わりがとても古い植物であったことがわかります。今もオリーブは食用、化粧品素材として広く用いられ、地中海沿岸が主産地になっています。 オリーブは春に花をつけ、晩秋から冬にかけて果実が収穫されます。品種は非常に多く、食用、搾油用など品種ごとに用途が異なります。

オリーブオイルの成分: 
オレイン酸:75% リノール酸:10% パルミチン酸:9% その他の脂肪酸:4.5% 不鹸化物:1.5% 
粘度が高く酸化しにくいオレイン酸を非常に多く含むため、とてもリッチなクリームや、トリートメント剤を塗ったような手触りが長く続くことが特徴です。そのため、常に乾燥している肌、乾燥しまとまり難い髪に適しています。 また、エクストラバージンオリーブオイルに多く含まれるビタミンEやポリフェノールは、オレイン酸の肌や髪、頭皮を保護する役割を助けます。 この性質は古くから知られ、料理に用いられるほか、マッサージや傷の治療などにも用いられました。

オリーブの古木

エクストラバージンオリーブオイルとは?

エクストラバージンオリーブオイルは4つあるオリーブオイルの品質クラスの中でも最上級の食用オリーブオイルを指します。オイルの鮮度の目安となる酸化値は0.8以下と非常に低いことが必須条件です。
精製されたオリーブオイルには含まれない、ビタミン類やポリフェノールなど油脂以外の有効成分や芳香成分が含まれています。含まれる量は微量ながら肌や身体に有効な働きをし、オイルの個性になる大切な成分です。
これは、多くのオリーブオイルはその種子から生産されるのに対し、エクストラバージンオリーブオイルは、果肉を絞ったいわば“オリーブジュース”を静置し、油分をジュースから浮き上がらせ掬って取り出したものであることに由来します。
ゆえに、食用はもちろん、スキンケアに用いるオリーブオイルは、エクストラバージンオリーブオイルが最適だといえるでしょう。
また、エクストラバージンオリーブオイル以外の多くのオリーブオイルは、臭いや色などを取り除くための精製を行なったり、オイル抽出に有機溶剤を用いるため、本来のオリーブオイルならではの有用な微量成分が含まれません。また製造工程では大きなエネルギー消費や化学物質の使用など環境への影響も生じてしまいます。
私たちは、オリーブの木の栽培からオイルづくりまで、自然環境、地域経済、品質にもより透明性が高く上質なオイルを選ぶため、オリーブ栽培とオイル作りに公正な姿勢で取り組む生産者から、毎年直接オイルを購入する仕組みをとっています。
 

オリーブミュージアム

オリーブ博物館生まれのオイル

アダテペ村について-地中海文明にもつながる歴史ある場所 私たちがオイルを購入するのは「アダテペオリーブ博物館」というオリーブの歴史博物館で生産された、品質はもちろん、その生産者も個性豊かで価値あるオイルです。 アダテペとは、島(トルコ語でアダ)のような丘や山の頂上(トルコ語でテペ)を意味する言葉で、名前のとおり空に浮かぶ島のように村は、エーゲ海を見下ろす小高い丘の頂上にあります。遠くにはレスボス島も見え、トルコの主要都市イスタンブールより、むしろギリシアの方が近いくらいの場所です。そして村がある丘の周辺は見渡す限りのオリーブ畑。オリーブ畑はエーゲ海へなだれ込むように広がっています。アダテペは、オリーブの木とエーゲ海と、二つの美しい海を見渡せるところにあるのです。 
また、ヨーロッパなどの広大なオリーブ農場は、木を機械で振動させて果実を振り落としますが、この場合オリーブの木は、機械の規格に合わせるために若い樹齢の木でなくてはならず、振動によって木の寿命自体も短くなってしまいます。つまり、効率を最優先した工業的な生産を行っているといえます。いっぽう、アダテペでは樹齢数百年というオリーブの木も少なくありません。地元の人たちは、「私たちの家族や村の歴史をずっと眺めている木ですから」と、人よりも長い時間を生きて来たオリーブの木を大切にし、収穫も出来る限り手摘みで行い、収穫が終われば丁寧に剪定をして若い枝の成長を促します。また、剪定をした枝は、燃料となり、燃料の灰は畑の土へと還ります。止むを得ず大きな枝を切った時には、それは家具や生活用品として新しい命を得ます。おかげで、この地域のオリーブの木は収穫によって弱ることもなく、毎年たっぷりと豊かなオリーブの実をもたらしてくれます。 
そればかりではありません。アダテペ周辺は、ギリシア神話の舞台でもあります。例えばアダテペ村のはずれには神々の王ゼウスの神託を受ける場所があり、村の背後にあって周辺地域の水源でもある自然豊かなイダ山は地母神キュベレーが住まう場所であり、パリスと三美神、トロイ戦争、英雄アキレスの物語の舞台でもあります。オリーブの樹やオイルは聖書や多くの神話の中に登場する歴史的な植物ですが、アダテペ村周辺はいかにもオリーブにふさわしい場所です。 
アダテペ村は、トルコの青年とギリシアの美しい女性レフィカの悲恋の物語があるように、もとはギリシア人とトルコ人が暮らす村でしたが、トルコの近代化に伴い都会へ居を移す人が増え、1990年代には廃村同然となっていました。 しかし、オリーブ博物館が進めるオリーブの自然農法と、そこから生まれるオリーブオイル、歴史文化、村の景観保護活動やエコツーリズムなどによって、村には観光客や新たな移住者が増え、美しく再生しつつあります。夏には村をあげての林間学校が開かれ、村がある地域一帯の自然農法の普及や環境保全・文化活動の拠点ともなっています。持続的でエチカルな事業は、周囲にも良い効果を波及させる社会事業でもあるのです。

オリーブミュージアム

オリーブ博物館について

この博物館はオリーブ石鹸の工場を改装した建物を利用しています。2階はオリーブオイルと人の関わりの歴史を古代から現代まで見渡す博物館となり、1階は石臼と水圧式の圧搾機を使った伝統的な製法でオリーブオイルを生産する、小さな工場になっています。もちろん博物館の訪問者は、1階のどこか懐かしさを感じさせる工場も見学できますし、冬に訪れれば、オイルの生産現場にも立ち会うことができます。 
このオリーブ博物館と私たちが出会ったのは2001年頃のことです。当時、石鹸作りのためより良いエクストラバージンオリーブオイルを求めて、スペインやモロッコなど世界各地のオリーブ農場やオイル工場を訪れ、その旅の中で出会ったのがトルコのエーゲ海沿岸にあるこのオリーブ博物館だったのです。何度か博物館や、博物館が支援・運営するオリーブの村を訪れ、博物館の主催グループや、村のオリーブ農家の人々と言葉を交わし、生産の場に立ち会う中で、オリーブ栽培やオイル製造にあたっての環境への配慮、地域経済への調和と持続的な雇用の創出、そしてオリーブと人の歴史への深い敬意と継承など、私たちのものづくりにも通じるコンセプトを持つことを理解し、深く共感したのです。
オリーブオイルは流通経路が複雑で、価格も高くなりがちであるり、かつオイルの出自もわかりにくいのが現実です。しかしこの出会いで、誠実で公正なビジネスにより、どこの畑でどのように栽培され、いつ収穫されて、どこでどのようにオイルになったのか? 全てが明確で、信頼できる上質なオリーブオイルを私たちは手に入れることができるようになりました。 
こうしてオイルづくりを行う彼らを、素材調達のパートナーと決めました。以来、現在まで、彼らの特別なエクストラバージンオリーブオイルは、私たちが製造する石鹸の材料として大切な位置を占め続けています。