チェンマイでは、まるで本のページが変わるように、きっぱりと季節が変わります。特に雨季から寒季の変わり目は、それが鮮やかで心地よいものです。
今年は、タイ気象庁の雨季明け宣言は23日でしたが、チェンマイでは、丁度ラーマ9世の葬儀が終わった29日が雨季の最後の日となり、翌日30日の喪明けと同時に、空気は、熱気を含んだ重いものから、涼しく軽やかな手触りに変わり、空からは入道雲が消え、日本の晩秋のような爽やかで涼しい寒季へと変わりました。
寒季になったら、するべきこととして、eavamの製造チームが待ち構えていた仕事があります。
ジャスミンの木の剪定です。
アンフルラージュ製法で作る特別なジャスミンバームのために、ジャスミンは沢山の花を収穫するためには、水と光が豊かな雨季の間は枝をたっぷり茂らせ、日照も雨も減る寒季の間は、木を眠らせるために枝を刈り込み葉を摘み取ってしまうのです。
今日は寒季になって3日目、朝早くからジャスミン畑に麦わら帽子が幾つも並び、スタッフたちのくすくす、うふうふと笑い声がします。
聞けば、出勤時間を1時間ほど早めて剪定を進めているのだと言います。
去年は、数年来の干ばつで花の収穫が減り、バームを沢山作れなかったのですが、今年はたっぷりと雨が降り、きっぱりと季節も変わり、これは来年のジャスミンの花の収穫はおおいに期待できる!というみんなの願いと意気込みが伝わってくるようです。
ジャスミンの楕円の艶のある深緑の葉は、朝日に透けて色ガラスのように光り、その間に女性たちの笑い声が響き、麦わら帽がちょこちょこと動き回るのは、緑の葉が切られてしまうのが、惜しいくらい美しい光景ですが、刈られた葉はコンポストに入れられます。そしていずれは ジャスミン畑に戻され、花となると思えば、惜しい気持ちは少し和らぎ、やはり来年の収穫への期待が膨らんでいきます。
チェンマイも寒季に入り、空気が薄く感じられるほど爽やかになりましたが、それは肌には少し悩ましい乾燥となるものでもあります。日本では、この肌の乾燥の悩みは尚更ではないでしょうか。
バームに染みたジャスミンの香りに、来年の花へを思いつつ、肌も乾きや寒さの中でも、艶やかに美しく保てたらと思います。