2018/10/05 15:54
ちなみに、虫の駆除法とは、なんと私たちが作っている石鹸で薄い石鹸液を作ってジャスミンの新芽にスプレーするというもの!
eavamの社内では手洗いやキッチンの水回り、掃除、道具やリネン類の洗濯まで、自分たちで作った石鹸の残りや不良品を利用しており、それらの排水も水生植物を使った浄水槽を通せば、植物を育てこそすれ、今まで周囲の土や植物に負担をかけたことはありません。
おじさんのアドバイスに「おやまあ!灯台下暗しね!」と頷きつつ、改めて自分たちが作る石鹸が好きになってしまったスタッフたちでした。
10月になり、あと10日ほどしてもう少し太陽の陽射しが弱まったら、普段はバームづくりや器の検品などをしているスタッフたちは、美しき女庭師たちに変身し、大きな麦わら帽を被り、畑へ出てジャスミンの深緑の葉をもぎ取って株をまる裸にし、株によっては更に深く枝を刈り込む作業をする予定です。
作業が終わり、日焼けして熱っぽい肌は、自分たちで作ったジャスミンバームで労わることでしょう。とはいえ、ジャスミンバームは製造できる量もごくごく限られているので、私を含めeavamの面々が使えるのは、バットや撹拌用のヘラに残ったものを惜しむように集め、それを分け合ったものなのですが・・・。
それでも、生花のジャスミンのグリーンティーのような青さとごく微かな渋み、そして清楚な甘さとがあいまった香りは清しく、その香りを色にしたような、エクストラバージンオリーブオイルの翡翠色や、ガーゼのように優しく肌を包む安心感のある手触りは、心地よいものです。
そして、畑の手入れがひと段落したら、今度は、eavamの工藝プロジェクトの布バッグのために、ジャスミンの花模様の刺繍をしながら、来年の花のことを思い浮かべることでしょう。
地球が、利便性を求め、消費的になりすぎた私たちの暮らしを嘆いているのではと思えるような、この数年来のお天気に、私たちのジャスミンの畑も翻弄されています。
その落ち着かぬ空模様やその中で懸命に花を咲かせようとする植物たちにできるだけ寄り添い、デーンおじさんのように自然の中に間借りする謙虚な知恵を働かせ、謙虚にそして私たちが本来自然の一部であることの証である、身体、手をおおいに使って、良きものを作って行けたらと思わずにはおれません。
チェンマイも昼はまだ夏の暑さですが、朝はひんやりと爽やかな乾いた空気が、北からたゆたうように流れてくるようになりました。
季節の移ろい、人の暮らしを包んで居る自然とどように関わって生きていくか?優しい手触りのジャスミンオリーブバームが、涼しい空気の中で、静かに香るのを楽しみながら、考えてみたいと思います。