2021/07/11 09:42
「ジャスミンオリーブバーム nongharn 03/103」は、作り終えた後も、時間の経過とともに香りがゆっくりと変化してゆきます。
「花の当たり年」2020年のバームも、出来たての時には、まずシャープなグリーン系の香りの印象が強く、だんだんとその香りが落ち着いて現在の濃厚なジャスミンの香りへと変化しました。
アトリエのジャスミン畑で育てる、完全に自然の生花から、香りを移しとっているので、毎年必ず同じ香りになるということは無いのですが、おそらく今年のバームも、時間が経つにつれて、2020年に近い香りの印象に移っていくと思います。
今しか楽しめない、貴重な(シャープでグリーンな)香りから円熟してゆく緩やかな変化や、2020年の香りとの聞き比べを、ぜひ楽しんでいただければ幸いです。
今回は「ジャスミンオリーブバーム nongharn」について、そして今年のビンテージ「2021年」の香りについて、お話しします。
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<パッケージ直後の香り>
香水ならば「トップノート」にあたる、香り立ちの早い芳香成分のインパクトが強い傾向にあります。
人によってはトロピカルフルーツや青リンゴ、蘭のカトレア類のような香りに感じる方もいらっしゃいます。
ただし、この香りは拡散性も強く、そのため最初の印象も強い反面、揮発するのが早いので、肌に馴染ませて体温で温められると、ゆっくりとジャスミンの花の香りが現れます。
そしてバーム全体の香りは、ゆっくりと数か月かけて、それぞれの芳香成分が馴染み、そのころにはこのトップノートはほとんど感じられなくなります。
これには2つの理由があります。
1)芳香成分は馴染むまでに時間を要します。
私たちのバームは、蒸留したばかりの精油や芳香蒸留水、調合したばかりの香水と同じ現象が生じます。
たとえば、芳香蒸留水ですと、薔薇やオレンジフラワーは、蒸留直後は硫黄の香りがするので、それが落ち着くまで1ヶ月ほど寝かせます。
香水も同様に、香料のブレンド後、それぞれが調和するまで数ヶ月寝かせます。
私たちの行う「アンフルラージュ法」でも、油脂(オリーブオイルバーム)に香りを吸収させる過程で、一部の香りが他の香りから分離してしまうため(芳香成分によって、油脂への吸収される速度が違います)、それぞれの香りが互いに馴染むまでに、数ヶ月の時間を要します。
2)芳香成分には、短い時間で分解されたり揮発してしまうものがあります。
バーム製造直後の現在、パッケージ開封時にはこの短い期間しか感じられない香りがいたします。
好みも分かれるところですが、最初に感じる、一見このジャスミンとは印象の違う香りもまた、花が咲いた直後だけに見られるものです。これらが普段は影にまわりつつ、その花の豊かな香りの印象を支えています。
そんな、咲いた場所でなくてはなかなか感じられない香りを、チェンマイの空気のひとつとして感じていただきたい。
また、花の香りの複雑さを実感していただくために、敢えて私たちは、製造直後から出荷しております。
<今年の香りの特徴>
ごく僅かにクローブの香りの甘やかなニュアンスを含みます。これに、作りたてのグリーンでフレッシュな香りが加わり、冷涼感のある凛々しさと静けさを感じさせます。
この透明感のある香りが、数ヶ月の時の経過と共に、円熟したジャスミンの香りへと育ちます。
私たちeavamが丹精して作ったジャスミンオリーブバームです。年ごとの作柄の違いと、時間の経過とともに変化する花の香りを、どうぞ楽しんで頂けたら幸いでです。